アクリル絵の具は水で薄めることができ、乾くと水に強いため、扱いやすく人気です。
しかし、ただ絵の具を塗るだけでは思い通りの作品は仕上がりません。
そこで、絵の具の層を重ねたり、パレットに出す色を上手に混ぜたりするコツを押さえて、効果的に表現を豊かにしましょう。
この記事では、塗り方の基本から、混色のコツ、筆の使い方、トラブルの解決方法まで、わかりやすく解説していきますよ。
アクリル絵の具の基本

このセクションでは、アクリル絵の具の基本的な知識を紹介します。
アクリル絵の具とは?その特徴を知ろう
アクリル絵の具って何?と思う方もいるかもしれませんね。
水彩や油絵の具とは違って、水で溶かすことができる上に乾くと水に強くなる、とっても便利な絵の具です!
乾燥も早いので、重ね塗りをする時に待ち時間が少なくて済むんですよ。
必要な道具と準備の仕方
絵を描き始める前に、描くための道具をそろえましょう。
アクリル絵の具を使う際には、筆やパレットに出す色、メディウム、水、布、そして画用紙やキャンバスが必要です。
筆は、細かい部分を描く細いものから、広い面を塗る太いものまで、いくつかの種類を用意しておくと便利です。
パレットに出す色は、基本的な色を揃えた上で、自分の好みの色を追加すると良いでしょう。
メディウムは絵の具の乾燥時間を調整したり、質感を変えたりするのに使います。
準備の仕方については、まず作業する場所を整えます。
広いスペースを確保し、絵の具が飛び散っても大丈夫なように新聞紙やビニールシートを敷きましょう。
次に、パレットに出す色を出し、メディウムや水を用意します。
筆を水で濡らし、軽く絞ってから絵の具を取ることで、塗りやすくなります。
画用紙やキャンバスは、しっかりと固定しておくと描きやすいです。
これらの道具を使いこなすことが、アクリル絵の具での塗り方や技法を学ぶ上での大切なコツになります。

道具を揃えてさっそく色を塗ってみよう!
塗り方の基礎技法

このセクションでは、アクリル絵の具の基本的な色の塗り方を紹介します。
平塗り:アクリル絵の具で均一な面を塗る方法
アクリル絵の具は水で薄められるため、均一な面を作る際には水分量の調節が重要です。
まず、絵の具をパレットに出す色に出し、筆を使って少しずつ水を加えながら混色します。
筆の選び方も大切で、平塗りには幅の広い平筆が適しています。
筆に絵の具を含ませたら、キャンバス上で筆の動かし方を意識しましょう。
筆をキャンバスに対して垂直に保ち、力を均等に入れて滑らかに塗っていきます。
ここがポイント!
絵の具の層が薄くならないように、筆圧は一定に保つことがコツです。
もし筆跡が目立ってしまったら、絵の具が乾く前に筆を横に動かして調整しましょう。
平塗りは、絵の具が乾く前に仕上げる必要がありますので、速さも求められます。
筆に水分が多すぎるときは、ティッシュで軽く押さえて調整します。
また、メディウムを加えることで、絵の具の乾燥時間を調節しやすくなります。
重ね塗り:色の深みを出すためのテクニック
アクリル絵の具で絵を描く時、色の深みを出すには重ね塗りがとても大切です。
まず、薄めの色から始めて、徐々に濃い色を重ねていきましょう。
この時、筆の使い方にも注意が必要です。
筆の角度や圧力を変えることで、色の乗り方が変わってきます。
また、パレットに出す色を混ぜることで、新しい色を作り出すこともポイントです。
混色は、色のバリエーションを増やし、よりリアルな表現を可能にします。
絵の具の層を重ねることで、立体感や奥行きを表現できるので、画家やイラストレーターにとって大切な技法の一つです。
メディウムを加えると、絵の具の乾燥時間を調整したり、透明感を出したりすることができるので、試してみるのも良いでしょう。
にじみ:水彩のような表現をアクリルで実現する方法
水彩画のようなやわらかなにじみをアクリル絵の具で出すには、水と絵の具の混ぜ方がとても大切です。
アクリル絵の具は水に溶けやすいので、水彩画のような表現も可能なんですよ。
まず、筆にたっぷり水を含ませてキャンバスに塗り、その上からアクリル絵の具を乗せてみましょう。
筆の動かし方によって、様々なにじみ方を楽しむことができます。
混色をするときは、パレットに出す色を少しずつ加えながら、自分の思い描く色に近づけていきます。
色が強すぎる場合は、水を足して調整しましょう。
絵の具の層を重ねることで、色の深みや立体感も表現できます。
ここに注意!
ただし、厚く塗りすぎると乾燥に時間がかかるので注意が必要です。
もし塗り方がうまくいかないときは、メディウムを使ってみるのも一つの方法です。
メディウムを加えることで絵の具の流れや乾燥時間を調整でき、思い通りのにじみ効果を出しやすくなります。
このように、アクリル絵の具は水彩のような表現も可能です。
スポンジを使ったテクスチャー表現
スポンジを使ったテクスチャー表現は、アクリル絵の具の楽しさをより深く探求する方法の一つです。
まず、スポンジの種類を選びましょう。
市販されているキッチン用のものから、美術用品店で売られている専用のものまで、使いやすいものを選んでください。
スポンジに絵の具をつけ、キャンバスに軽く押し当てることで、自然な模様やざらざらとした質感を作り出せます。
力の入れ方によっても表現が変わるので、いろいろ試してみるのがコツです。
また、色を変えながら重ねて塗ることで、より複雑なテクスチャーを生み出すことができます。
混色を利用して、新しい色の発見も楽しんでみてください。
この技法は、岩や木の皮、波のしぶきなど、自然の要素を表現するのに特に有効です。
スパッタリング:飛沫(しぶき)でダイナミックな効果を
スパッタリングは、絵の具を飛ばしてキャンバスに直接当てる技法です。
この方法で、自然な飛沫の模様や動きがある表現ができます。
まずはアクリル絵の具を用意し、水で薄めるか、そのままの濃度で使います。
薄めた絵の具は飛びやすく、濃い絵の具はしっかりとした飛沫を作ります。
筆や歯ブラシの毛先を使って絵の具を飛ばすのが一般的です。
飛ばし方にはいくつかの方法があります。
筆の毛先を指でこする、筆を振る、筆を別の筆でたたくなど、試してみるといいでしょう。
飛沫の大きさや形、方向を変えたいときは、絵の具の濃さや筆の動かし方を調整します。
スパッタリングをするときは、周りを汚さないように新聞紙などで保護することを忘れないでください。
また、意図しない場所に絵の具が飛ばないよう、マスキングテープで覆うのも効果的です。
この技法は、星空や雪、波しぶきなど、自然のエネルギーを感じさせる場面にぴったりです。

重ね塗りは立体感や深みを出すのに効果的だよ。
スポンジを使うと独特な質感を表現できるよ。
筆や歯ブラシを使って弾いて、無造作なスパッタリングを楽しもう!
アクリル絵の具の応用技法

このセクションでは、アクリル絵の具の応用的な色の塗り方を紹介します。
拭き取り:誤った塗りを修正するコツ
絵を描くとき、うまくいかないこともありますよね。
アクリル絵の具なら、塗り間違えた部分を修正する方法があるんです。
最初に、間違えた塗りを直すときは、絵の具が乾く前に行いましょう。
乾いてしまうと、修正が難しくなります。
水を含ませた筆を使って、慎重に絵の具を拭き取ることができます。
このとき、筆を優しく押し当て、絵の具を吸い上げるようにしましょう。
また、絵の具の層が厚くなってしまった場合は、水かメディウムを少し加えて、絵の具を柔らかくしてから筆で取り除くと良いでしょう。
このときも、筆を優しく動かすことが重要です。
塗り間違えた部分が完全に乾いてしまった場合は、新しい絵の具をその上から重ね塗りして隠す方法もあります。
ただし、その前に、下の層が完全に乾いていることを確認してください。
パレットナイフを使った塗り方
パレットナイフを使った塗り方は、アクリル絵の具の面白さを引き出す技法の一つです。
この道具を使うことで、絵の具を厚く塗ったり、立体感を出したりすることができます。
まず、塗る前に絵の具をしっかりとパレットに出す色で混ぜます。
混色は絵の具同士がきれいになじむように、しっかりと時間をかけて行いましょう。
次に、パレットナイフの先端や側面を使って、キャンバスに絵の具を乗せていきます。
力の入れ具合で、絵の具の層の厚みを調整することができるので、軽く押し付けたり、強く引き伸ばしたりしてみてください。
また、絵の具が乾く前にパレットナイフで削るようにして、表面を整えたり、線を入れたりすることで、さらに独特の質感を出すことができます。
塗りすぎた部分はメディウムを使って調整したり、乾いた後に上から重ね塗りをすることで修正が可能です。
スクラッチの技法
スクラッチ技法は、乾いた絵の具の層の上に新しい色を塗り、それを削ることで下の層の色を見せる方法です。
この技法では、硬いものを使って絵の具を削り取ります。
たとえば、コインやカードの端を使ってもいいですし、専用の削りツールを使っても素敵な効果が生まれます。
重要なのは、下の層が完全に乾いていることを確認することです。
乾いていないと、うまく削れずに絵が台無しになってしまうことがあります。
また、削る力加減も大切です。
力を入れすぎるとキャンバスを傷つけてしまうこともあるので、慎重に行いましょう。
スクラッチ技法は、木の皮の質感や髪の毛の細かい線など、細かいディテールを表現するのに適しています。

乾く前なら水を含ませた筆で吸い取り、乾いてしまったら上から新しい色を塗ればいいよ。
パレットナイフを使うと絵の具を厚く塗って立体感を出しやすいよ。
スクラッチを使うと木の肌などの質感を表現するのに役立つよ!
アクリル絵の具の上達コツ

このセクションでは、アクリル絵の具の使い方の上達のコツを紹介します。
練習の積み重ねが重要
絵を上手に描くためには、筆の扱い方や色の出し方など、基本的な技術を習得することが大切です。
特にアクリル絵の具は乾きが早く、色の混ざり方も独特なので、その特性を理解し、練習を重ねることが重要になります。
まずは、アクリル絵の具の基本的な性質を知り、どのような筆やキャンバスが適しているかを把握しましょう。
次に、平塗りや重ね塗り、にじみやスポンジを使った表現方法など、塗り方の基礎技法を一つずつ丁寧に練習していくことが大切です。
塗り間違えた時の修正方法や、パレットナイフを使った塗り方など、応用技法も少しずつ挑戦してみてください。
色の混ぜ方をマスターする
色を混ぜることは、絵を描く上でとても大切な技術です。
基本は白、黒、赤、青、黄色の5色です。
これらを組み合わせることで、さまざまな色を作ることができます。
例えば、赤と黄色を混ぜるとオレンジができますし、青と黄色を混ぜると緑になります。
色の明るさを変えたいときは、白や黒を加えて調整しましょう。
でも、ただ単に色を混ぜるだけではなく、どのように混ぜるかが重要です。
筆を使って、パレットに出す色をなじませるように混ぜると、きれいな新しい色が生まれます。
混色のコツは、少しずつ色を加えていくこと。
急にたくさんの色を混ぜてしまうと、思い通りの色にならないことがよくあります。
ここがポイント!
一度に厚く塗るのではなく、薄く何回かに分けて重ね塗りをすると、色がきれいに見えるんです。
色がうまく混ざらないときは、メディウムを少し加えると、混ざりやすくなります。
メディウムは絵の具の質感を変えたり、乾燥時間を調整したりするのに使います。
これを使うと、絵の具の扱いやすさが変わるので、試してみるといいでしょう。
色を混ぜるときには、自分の感覚を信じることも大切です。
教科書通りに混ぜるのではなく、自分の目で色を見て、どう感じるかを大事にしてください。
画面構成を事前に練る
画面構成を事前に練ることは、絵を描く上でとても重要です。
アクリル絵の具を使う際には、どのように画面に色を置いていくかを予め考えておくことで、より計画的に作品を仕上げることができます。
塗り方のコツをつかむためにも、このステップは欠かせません。
まず、どんな風景や対象を描くのか、全体のイメージをしっかりと頭に描きましょう。
それから、大まかな色の配置や絵の具の層の順番を考えます。
たとえば、遠くの山は薄い青で、手前の木は濃い緑で表現するなど、遠近感を出すための色の濃淡を決めておくのです。
次に、パレットに出す色を準備します。
アクリル絵の具は乾くと色が変わることがあるので、色の見本を作っておくと良いでしょう。
また、混色の際には、色がどのように変化するかを試しながら、理想の色を作り出します。
また、画面構成を練る際には、絵の具の層を意識することも大切です。
下層にどんな色を塗るかで、上から塗る色の見え方が変わってくるからです。
絵の具の層を重ねることで、立体感や深みを出すことができます。
画面構成を練る時には、紙の端から端まで目を動かして、バランスを考えましょう。
中心に何を置くか、どの部分を強調するかなど、構図についても事前に決めておくことが大切です。
画家やイラストレーターは、このプロセスを通じて、作品に命を吹き込むことができるのです。
最後に、画面構成を練るというのは、ただ事前に計画を立てるだけではなく、描きながらも常に構成を見直すことが重要です。
自分だけのスタイルを見つける
自分だけのスタイルを見つけるためには、アクリル絵の具の特性を理解し、さまざまな塗り方や技法を試してみることが大切です。
基本的な平塗りから始めて、重ね塗りで色の深みを出したり、にじみを使って水彩のような表現を試したりすることで、徐々に自分の好みのスタイルが見えてきます。
筆を使ってパレットに出す色を混ぜ、絵の具の層を重ねていく中で、自分ならではの色の使い方や形の描き方が発見できるでしょう。
また、スポンジやパレットナイフを活用することで、独特のテクスチャーや線を生み出せます。
塗り方に慣れてきたら、モダンテクニックやスクラッチの技法にも挑戦してみましょう。
これらの技法は、画面に動きやリズムを加え、作品に個性を与えるのに役立ちます。
間違った塗りをした場合でも、吸い取りという方法で修正が可能ですので、恐れずに色々な試みをしてみてください。

混色するときは少しずつ混ぜていくのがコツ!
また、キャンバスに色を乗せる前に、画面構成を事前に練っておこう。
こうした積み重ねで自分なりのスタイルを探していこう!
まとめ

今回はアクリル絵の具の塗り方と技法を紹介しました。
アクリル絵の具を使いこなすためには、基本からしっかりと学びましょう。
まず、アクリル絵の具は水で薄められることや速乾性がある点が特徴です。
筆の持ち方や筆使いの練習、パレットに出す色の選び方にも注意が必要です。
色の混ぜ方をマスターすることで、豊かな色彩表現が可能になります。
絵の具の層を重ねることで、立体感や奥行きを出す技法もあります。
また、間違えたときのトラブルの解決方法として、絵の具が乾く前に水で洗い流すことができます。
練習を重ねることで、自分だけの塗り方やスタイルを見つけられるでしょう。
画家やイラストレーターとしての技術を磨き、表現の幅を広げていきましょう。
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